偏頭痛

てんきわるいのすぐわかってべんりよね

ロードムービー

小学校の頃、塾に通っていた

 

それは地元では有名なかなり厳しい塾で、各近隣地域の校舎の上位5名しか入ることの出来ないクラスにわたしは在籍していた。

小学校6年生の時にその塾で社会科を担当してくれていた先生をわたしはいたく気に入っていた。小指が欠けた、眼鏡の、不思議な先生だった。

朝井、という名前のあさが浅じゃなくて朝、というのもかっこいい!と感じていた(ここでいうかっこいいは男性的魅力のことではない)し、わたしが確認テストでカンニングをした時に、怒鳴らず淡々と怒ってきたその態度が、今まで出会ってきたほかの大人と違ってて何とも興味深かった。その時までは大人とは怒鳴ったりヒステリックになったり殴ったりすることで怒りを表現する生き物だと思っていたので、何もかもが違った、初めてのジャンルの人間、わたしにとっては衝撃的な出会いである。

社会科は単純に面白かった。その先生が教えるのがめちゃくちゃに上手かったので今思えばそれのおかげだったのかもしれない。

当時その塾には"資料集"と呼ばれた社会科の先生が作った分厚いプリント集があった。この穀物はどの国からどれくらい輸入されてるのか、この水産物はどこの県が一番捕獲量が多いのか、そういった農業、工業、林業全てにわたるデータがびっしりと載っていて、誰にも信じてもらえないかもしれないが、そのクラスの大半が私も含めその資料集の端から端までを暗記していた(キモい)、そしてそのプリントを1枚1枚丁寧にファイリングしたファイルをわたしは本当に宝物だ、と思って何よりも大事にしていたしどこに行くにも持っていってた。(キモい)

資料集を覚えるにあたって、まずは日本のどの位置にどの県があって、はたまた平野、川、山、盆地、半島、湖、湾、海、代表的なものは全て覚える必要があった。数え切れないほどの確認テストがあり、それをクリアしないと夜中まで居残り確定である。擦り切れたテープみたいに何度も何度もその名前を脳内に刻んだ。庄内平野十勝平野知多半島知床半島利根川信濃川阿蘇山、英虞湾、小学生が書ける漢字じゃないものも全て漢字で覚えなければいけないのだから、ほんとにあっぱれである。24歳のわたし、英虞湾なんて突然書けと言われても書けないぞ、12歳のわたし偉すぎるな…

 

いつか、全部行きたいと思っていた。このプリントにあるところに全部。せっかく馬鹿みたいに何度もノートに書いて、怒鳴られたり怒られたり泣いたりしながら覚えたんだから。そう思っていた。

 

利根川関東平野を横断し太平洋に注ぐ、流路延長は約322kmで信濃川に次いで日本第2位、流域面積は約1万6840km2で日本第1位であり、日本屈指の大河川である。多分当時はその関東平野の気候まで暗記していたけれど、今はもう分からない(住んでいるのに!!!!)

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こういうとき横じゃなくて縦で撮っちゃうあたりめちゃくちゃセンス無いな…

今日行ってきた。大人になったから行ってきた。大人になったし、本当は阿蘇山も登りたいし木曽川揖斐川長良川も見に行かなきゃ。

庄内平野十勝平野は絶対行くんだ…

利根川は流域面積が1位というくらいだから広い川なんだけど確かに大きくてすごい…とはなったけど別に感動はしなかった。というよりかは自分の知識を自分の目で確認する作業が好きなのでその作業ができた達成感の方が大きかった。

国道6号線を真っ直ぐ歩いてて、この道を真っ直ぐ歩けば東京に着くんだと思った。単純な話本州てあれば青森県から山口県までは真っ直ぐ歩いていけば着くはずだ。

真っ直ぐ歩けばとりあえず着く、という言葉をよく使ってしまう。

方向音痴にとっての安定剤である。

 

大人になったのに、わたしはまだ人間関係、仕事、家、いろんなものに縛られて、自由には動けない。

19歳までは20歳になれば自由になれると思っていた。24歳のわたしは別に全然自由でもないし

朝起きて思い立っても十勝のチーズは食べに行けないのだ。精々行けるのは隣の県に流れている利根川くらいです

 

自由になりたいなあ

 

 

なんて思うけどまあ自由って何か分からないんですけどね

何をしても誰からも怒られない、とかそういう稚拙なことしか考えられないから

まだ自由になる権利はないな…